![]() 昭和17年9月10日 青木書店 B6判 丸背 183頁
2000年11月7日改訂 |
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序 |
1 早春の山にて |
2 春浅き |
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3 かたくりの花 |
4 軍 道 |
5 秩父の早春 |
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6 松本の春 |
7 飯縄高原 |
8 山小屋の朝 |
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9 若い白樺 |
10 日川の谷 | |
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12 和田峠東餅屋風景 |
13 一年後 | |
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15 雪消の頃 |
16 セガンティーニ | |
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18 高 原 その一 |
19 高 原 その二 |
20 高 原 その三 |
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21 高 原 その四 |
22 高 原 その五 | |
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25 雲 | ||
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30 三国峠 |
31 旅 |
32 お花畠 |
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33 天井沢 |
34 槍沢の朝 | |
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36 窓前臨書 |
38 牧 場 | |
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39 秋 |
40 夕の泉 |
41 下 山 |
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42 山中地溝帯 |
43 甲斐の秋の夜 |
44 輪鋒菊 |
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45 猪 茸 |
46 野辺山ノ原 |
47 美ガ原熔岩台地 |
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48 秋の流域 |
50 御所平 | |
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51 山麓の町 |
52 志賀高原 |
53 信州追分 |
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56 凍 死 | ||
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57 夏山思慕 |
58 連峯雲 |
59 登山服 |
早春の山にて
遠い北方の山々に雪はまだ消えないが、 こうして移る刻々が私にはひどく惜しまれるが、 だが明日は五月、 (明日 あす) (我が子に与う 昭和十四年作)
春浅き
春浅き三頭の山に
(三頭 みとう) 氷柱こそ滝にはかかれ、 しかれども我がいぶかりは 宿にして夜のまどいに、 礼すると、はた、せざるとは、
かたくりの花
春のいきれの暑い山みち、
軍 道私たちの下って行った山腹の村には
秩父の早春森林や谷間にはまだぎっしり雪がつまっているが、 時の輪廻の思い輪の下におしだまって その太陽もやがて烈風のなかに傾けば、 しかし今日は何という慈みの色が
松本の春
車庫の前にずらりとならんだ朝のバス、
三 国 峠
権現さまに臀をむけて
飯縄高原
若い太陽、吹くとしもない宇宙の風、 あゝ高原よ、
山小屋の朝山小屋の尾根からは陽炎が立っている。 (陽炎 かげろう) 壮麗の、森厳のと言ったって、 こんな朝のさばさばした人間関係‥‥
若い白樺
朝のあおい空気に濡れて 周囲の酔わせるような春の息づかいを
日川の谷(日川 にっかわ)
四日の旅路が終ろうとして さしのぼる着き、帰る人あって、
神津牧場牧場管理人のいかめしい顔のまんなかで、 バドミントンスタイルの牛酪掛の老人は、 錫の分離器が夢みるように歌い出す。
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和田峠東餅屋風景
唐沢、男女倉口、接待と、
一 年 後
猿ガ京を出はずれて 「小父さん、どけえ行くだ」 ※ 翌年の春もたけて山藤の頃、 私は歩きながら眼で探した。 すこし行って私は振り返った。 私は遠くから首をかしげて挨拶しながら、
山村の夕暮
甘やかな、ほんのり赤い五月の夕日が 夜に入る前最後の娘が汲みに来る 人が其処から汲みあげる平和、 其の時、一冊のゲーテ、一冊のヘッセと共に、 黒びかりする柱を照らす吊ランプ、
雪消の頃
清いものとして薄れゆく 身にしみるほどまじめで、 ながい隠忍のはしばみや 雪消の水の青と銀との糸すじに (雪消 ゆきげ) 自然はまだどこか淋しいが、 そしてもう人が居るのか、あの小屋から
セガンティーニ(その画「春の牧場」に)
それで画家は、いま一度、 太古からのように、又今始められたように 山上の春の大きな寂寛のなかで、 はじまる朝も終る夕べもなくなって、
峠 路
なんとなく春めいた風が私をつゝみ、 私の眼が大きくなる。
高 原 その一
熱い火山岩が切り明けの道にごろごろしていた。
高 原 その二
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友
わたしは君と旅をした。 わたし達は暗い林間で清水を飲み、 (高村光太郎君に)
アルペンフロラ
槍に、白馬、乗鞍に、八ガ岳に、 凛々たるアルペンフロラ!
雲
雲がはるかに、群れ、浮いている、 雲の変化はつねに短音階(モル)だ。 この世でのつながりを欲しいが、 ウンブリアの夏のようなものが想われる。
大いなる夏
路は登るにつれて伊吹麝香草の淡紅になった。 (淡紅 うすべに) 友の指さす指の先で峠はあんなに高かった。
八ガ岳横岳
もうそこに這松の手掛かりは絶えた。 今や生命と同じ名になった重心が 遠く夏の天を刻んでいる連山から、 その想像は一瞬の眩暈に値した。 (眩暈 げんうん) ただ眼に焼きつくのは眼前や脚下の岩角、
金峰山の思い出
金泉湯の若いおかみさんは (金泉湯 きんせんとう)
前橋市遠望
山のスカイラインの永遠の上に、
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お花畠
いちばん楽しかった時を考えると、 高山の花のあいだで暮らした あの透明な美酒のような幸福の 夏の幾日がおもわれる。 残雪や岩のほとりの どんな花でも嘆賞に値したし、 あらゆる花が夕べの空や星辰の 深い意味を持っていた。 そこには空気は香り、 太陽の光は純粋に、 短い休暇が私にとっては永遠だった。
天上沢
みすず刈る信濃の国のおおいなる夏、
槍沢の朝
人影もない堆石(モレーヌ)の丘に まだ霧の縞のふるえている青い谷奥に ふと、「とりどりの石」(ブンデ・シュタイネ)という言葉が唇にのぼった。 あたりは這松の樹脂のにおい。
帰 来
黙々として彼は山から帰ってきた。 山の無言とけだかさとは そして再び複雑多端のこの世を生きようとする彼だ。
窓前臨書
いつのまにか青葉になった庭前の樹々に、 あの日以来さまざまな仕事が 註1 歐陽詢の拓本「醴泉銘」
目次へ
高原の晩夏に寄せる歌「山」終刊号のために
正午に燻る火山高原の草にまぎれて、 方解石いろの雲の下、
牧 場
山の牧場の青草に 夏もおわるか、白雲の 山の牧場の風立ちて、
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下 山
征服したというのか。 おののき打たれて、確かに愛する暇もなく、 何か最も重大な一事の ああ、高く高く、夕日のなか、 (遠く、貧しく、人里の
山中地溝帯(さんちゅうちこうたい)
ゆたかな秋がすべての峯々を黄に赤に照らしている。 わたしの見る古生層の山々よ、 わたしは感謝する。だがお前たちの主人は わたしは悲しむ、われわれの自然への賛美の歌が
甲斐の秋の夜
さわやかにひろびろとした一日が暮れて、 盆地には、うすら寒い もっと遠い勝沼や韮崎は
輪鋒菊
あのそよぎ立つ荒寥の比類なき美しさ! 火山高原のごろごろ岩をいろどって咲け輪鋒菊。
(輪鋒菊 りんぽうぎく)
猪 茸
上州利根郡の山奥から、 たくましく、革めいて、
野辺山ノ原
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山麓の町
田舎町の小さな停車場を出ると、 岩石学的で地質学的な町、 今朝がまるで学生時代を想わせるから、 それから帽子をかぶり直し、
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