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旅と滞在 「敬愛する高村光太郎君に献ず」 78頁 定価七十五銭 恩地孝四郎装幀
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友
わたしは君と旅をした。 わたし達は暗い林間で清水を飲み、 (高村光太郎君に)
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友
君の朝の乳入珈琲(カフェ・オー・レ)には、 冬の夜更けの工房(アトリエ)のストーヴに、 遠くの空で稲びかりのする夏の宵、 風懐を知って風懐を乗りこえ。 君の芸術にある天然のように尽きない魅力、 しかしあたりがそろそろ人間臭く、
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三 国 峠
権現さまに臀をむけて
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一 年 後
猿ガ京を出はずれて 「小父さん、どけえ行くだ」 ※ 翌年の春もたけて山藤の頃、 私は歩きながら眼で探した。 すこし行って私は振返った。 私は遠くから首をかしげて挨拶しながら、
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神津牧場
牧場管理人のいかめしい顔のまんなかで、 バドミントンスタイルの牛酪掛の老人は、 錫の分離器が夢みるように歌い出す。
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前橋市遠望
山のスカイラインの永遠の上に、
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猪 茸
上州利根郡の山奥から、
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夕べの泉
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若い白樺
朝のあおい空気に濡れて 周囲の酔わせるような春の息づかいを
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アルペンフロラ
槍に、白馬、乗鞍に、八ガ岳に、 凛々たるアルペンフロラ!
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八ガ岳横岳
もうそこに這松の手掛かりは絶えた。 今や生命と同じ名になった重心が 遠く夏の天を刻んでいる連山から、 その想像は一瞬の眩暈に値した。 (眩暈 げんうん) ただ眼に焼きつくのは眼前や脚下の岩角、
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輪鋒菊
あのそよぎ立つ荒寥の比類なき美しさ! 火山高原のごろごろ岩をいろどって咲け輪鋒菊。 (輪鋒菊 りんぽうぎく)
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星空の下を船はほのぐらい凪の夜の海上を 後甲板で誰かが歌つてゐるナポリタアナ、 風よ! 風は魅するやうな西南の微風、 船橋のまうへ、天の鷲とのあひだで、
註 「二十年の歌」では題名が「航海」に変更されている。
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朝の速記
わずかの間だがぐっすり眠った。 海上は夜あけが早い、 毛布から銀行家型の禿頭がぬっと出る。 洗面所では顔じゅう泡にして髭を剃った。 白麻の服にすがすがとして甲板に立つ。 さえぎるものもない太平洋の水と風、 もう船じゅうが朝の作業を始めている。 四国山脈の雲を破ってらんらんたる朝日が出た。 食堂へ出たら船長さんが慇懃に接待した。 もうあと一時間。前途に持つものは何かは知らぬが、
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山村にて
甘やかな、ほんのり赤い五月の夕日が 夜に入る前最後の娘が汲みに来る 人が其処から汲みあげる平和、 其の時、一冊のゲーテ、一冊のヘッセと共に、 黒びかりする柱を照らす吊ランプ、
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山麓の町
田舎町の小さな停車場を出ると、 岩石学的で地質学的な町、 今朝がまるで学生時代を想わせるから、 それから帽子をかぶり直し、
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日 川 (にっかわ)
四日の旅路が終ろうとして さしのぼる着き、帰る人あって、
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甲斐の秋の夜
さわやかにひろびろとした一日が暮れて、 盆地には、うすら寒い もっと遠い勝沼や韮崎は
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山中地溝帯
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金峰山の思い出 (きんぷさん)
金泉湯の若いおかみさんは (金泉湯 きんせんとう)
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